Cotton Candy

夢の続きは、ひとつかみの綿菓子

職人と追及

先週末の元会社大先輩と会った話。今年53になる彼女(独身・両親と同居)が突然会社を退職すると聞いて、びっくり。だって、誰だって、ここまで来たら定年退職まで勤める方がいい、って思うでしょ。言葉悪いけど、何が何でも我慢して勤めなさい、って感じ。もちろん、本人がそれを一番分かっているはず。それなのに、辞めると決めたのだから、よっぽどのことがあった...と推測する。

80年入社の彼女は、高校出て一年間英文タイプの専門学校に通い、タイピストとして業務課に配属された。その何年後か同じ部の営業課に私は入社し、毎日毎日彼女のお世話になった。OA化が進んでいるときではあったけど、まだまだ営業と業務は分かれていて、書類は営業→業務→営業を行き来し、営業のミスを心優しい業務がフォローし、業務のミスを愛想の良い営業が(仕方なく・泣)カバーしたりしていた。(←先方に謝るのみ(>_<))

彼女から言わせると、正確で美しい書類を速く作ればいい、だけだった。ノーメイクだろうが、Tシャツにジーパン(さすがにそれはなかったと思うけど・笑)だろうが、無愛想だろうが、コミュニケーション能力ゼロであろうが...。もちろん、営業のミスやおかしなところに気付いたりして、担当の人や上司に相談したりすることはあったけど、その程度の会話で充分だった。

それが時代の流れとともにいつのまにか、「全て」を求められるようになって、それなりの努力をしてきたのだけど、ついに限界に来たらしい。真面目な彼女のことだから、本当にかなりの努力をしてきたんだと思う。専門の勉強をしたり、もともとタイピストだから、パソコンにかけてはものすごく長けていて資格もいくつか取ったらしい。じゃ、その「パソコンが出来る人」でいいではないか、って私なんかは思うけど、当たり前だけど、今の世の中、そういうわけにいかないのだ。

でも、もう少しの間の我慢では・・・って、しつこく思うけど、我慢どころではなくて、苦しみのみ。それがあと7年も続くとわかったら、楽でのんびりした7年を過ごそうと思ったらしい。同居のご両親も納得されたらしい。

 

そういえば、システムエンジニアなんかも、技術だけじゃだめでコミュ力や文章作成力も今は必要って聞いたことがある。オタクじゃだめだのだ。そうそう、私の知ってる人も、とある大企業の研究所に勤務してるけど、ものすごいおしゃべりで、それなりのポストについているのに、現場が大好きと年柄年中飛び回って、クライアントと無駄?話してる(笑)。

我が身を振り返って・・・今の仕事に必要なのは何だろう。いろいろあるけど、それがないのだったら、辞めてしまえばいいものをそうしないのは、一年前と今日とは違うし、昨日と今日とも違うし、未来は明るいのだか暗いのだかも分からないけど、今日と違うことだけは確かで、そのこれから起きるかもしれない思いがけない小さな喜びに支えられているのかも。

 

追記:彼女の今の上司が私の同期の某氏だと聞いて「それ(彼)じゃ、嫌よねー」と思わず笑顔で反応してしまったけど、本音はそこなのかもしれないって割と確信している。追及はしなかったけど...。