Cotton Candy

夢の続きは、ひとつかみの綿菓子

F:

FはフランスF。フランスへの憧れはいつからだったのだろう。7つ上の姉が(その頃の女子が誰もがそうだったように )「ベルばら」にはまっていたから、やっぱり、その影響は大きかったと思う。さすがに連載中は知らないけど、その後に出たコミック版は夢中になって読んだ。それの感想文を書き始めたらキリないので書かないけど(笑)、これのおかげで、私を含め、世の多くの女子がフランスやフランス革命ひいては世界史に興味をもったわけで、その功績は大きいと思う。作者の池田理代子さんは、ツヴァイクの小説「マリー・アントワネット」に感銘を受け、それを参考に描いたと聞くけど、私はそれの小学生向けの「悲しみの王妃」という本を読んで、その世界に興味をもった。もともとは、シンデレラや白雪姫、眠れる森の美女などのお姫様シリーズの延長として、(挿絵のドレス姿の王妃に惹かれて・笑)読み始めたのだけど、その後何度も繰り返し読んだ覚えがある。あの本、今でもあるのかしら...。

 

子どもの頃読んだ本はよく憶えているけど、大人になってから読んだ本って記憶からどんどん抜け落ちてしまう。一度読んだ本を忘れて買ってしまって、読み始めてから、気付くこともある。(>_<)

そうそう、もうだいぶ前だけど、何かの本で読んだ大江健三郎さんのエッセーが印象に残っている。息子さんと散歩をすることを日課にされていたある日のこと、散歩の途中で息子さんの具合が悪くなってしまった。発作をしずめたり気を落ち着かせたりして必死に対処し、大事に至らずに済んだのだが、遠くからそれを見ていた高校生女子がいた。氏は、その子が自分の携帯電話をバッグから出し、こちらに向けて見せたまま立っていたことを知っていた。声をかけたり、駆け寄ったり、助けたりしない。でも、いざとなったら私は電話をかけることができる。だからそのときは知らせて、という合図を示しながら彼女は自分たちを見守っていてくれていたのだ。・・・そのような内容だったと思う。そして、彼はその子の凛とした優しさに感謝し、忘れない、と結んでいたと思う。

 

泣いている人の涙を拭いてあげる優しさもあれば、となりに座っているだけの優しさもある。手紙を書いて励ます方法もあれば、「あまちゃん」みたいに変顔送って励ます方法もある。どんな優しさに包まれたいか、どんな風に励まされたいかは人によって違うだろうけど、前述した少女のような凛とした優しさには、この年になっても憧れる。そのような優しさをもちたいし、そのような優しさで励まされたいと思う。