Cotton Candy

夢の続きは、ひとつかみの綿菓子

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負の連鎖というのかな。先月末から、仕事で良くないことが思いがけなく続いている。そのせいで、日頃は気にとめなかった小さなハプニングもその連鎖のひとつなのだと思いこみ、何もかもがマイナスの材料に見えてしまう。先週末、近所のママ友が急に引っ越しをしたのだけど、それさえ負の連鎖中だから、と思ってしまっている。体調もすぐれない・・・

そんな中、横浜で、ある著名な絵本作家の講演会があった。主催は、子どもたちが通った幼稚園で、ひと月ほど前に誘いを受けた。当日は午後から仕事だったので、わざわざ横浜に出かけるのも正直億劫だったのだが、母子共にかなりお世話になった幼稚園で、そこでの思い出は楽しいことばかりだし、もしかしたら感動できるようなお話が聞けるかもしれないという期待を胸に抱き、行ってみることにした。

横浜の某所に9時前にいた。その朝の我が家といったら、誰もが想像できるように、戦争だった(笑)。逆方向なので幸いラッシュは逃れたが、駅からの急な坂道をハイヒールで上り上り上り、着いたときは、ぐったりしてしまい、迎えてくれた懐かしい面々に挨拶するのがやっとだった。

 

その絵本作家は、最初にパワーポイントで、ご自分の本の紹介を何冊もされた。皆さん熱心にメモを取っていたけれど、私にはどうしても商売としか思えなくて、その感情を持ってしまったら、心が狭いのか、次からの本題の講演も全然入ってこなくなってしまった。上っ面のきれい事にしか聞こえない。最後に詩の朗読をされたが、すすり泣く声も聞こえる中、ひとり白けている自分がいた。質問コーナーになると、待ってましたとばかり美しい質問が次から次へと飛び交う。内容よりも、その演出に感心してしまう。その昔、私も主催者の代表として、前日までに綿密な打ち合わせをスタッフ(父母の会役員)ととともにしものだ。会を盛り上げるための工夫は大変だった。・・・いつの時代もママたちは熱心だなあ。私たちの時より上手だなあ。心はすっかり、違う方向に飛んでいた。

すると、そのとき、司会者が名指しで私を呼ぶではないか。えー?!そんなの台本にあったの?冗談でしょ?あたふたする間もなく、マイクが廻ってきた。仕方なく立ち上がり、皆の視線を感じながら、名を言い、しどろもどろにつまらない質問をした。分かっていれば、もうちょっと気の利いた質問をしたのに・・・これも負の連鎖?(泣)

 

全てが終わったあとは絵本を買った人と握手&サイン会。長い長い行列を横目で見て、会場をあとにした。お話はたぶん、とても良かったのだろう。よくよく考えてみれば、人の話に純粋に感動できなくなってしまった自分が寂しいではないか。疲れているせいとはいえ、負の連鎖中だとはいえ。午後からの仕事が気になっていたとはいえ。

とは言うものの、純粋な若いママたちに会えたのは良かった。皆さん、子育てに一生懸命だ。当たり前だけど、ちゃんと正面から育児に取り組んでいる。その姿は美しくて頼もしい。えらいなーって心から思う。

 

帰りの電車で気持ちを切り替え、午後から仕事。この日も夜まで遅かった。そして、昨日もまた、アポがドタキャンされるというハプニングが起き、いまだ負の連鎖真っ最中。

こんな中、好きな作家の本でも再読してみようか。純粋にその世界に入れるだろうか、また感動できるものか、自分の心を試してみようか、と思っている。

村上春樹。さあて、何を読もうかな。